隣の先輩
 学校に行く途中、愛理と依田先輩が一緒に登校しているのに会った。


「おはよう」


 愛理も依田先輩もいつもと変わらなかった。でも、少しだけ依田先輩がいつもより優しく見えた。


 靴箱のところで先輩と別れ、愛理と一緒に行くことになる。


「誕生日、何がいい?」


「気が早くない? お兄ちゃんみたい」


 なんとなくこの前のことを思い出し、微笑ましく思えてきた。


「財布は……やっぱりいいや。バッグかティーポットかな」


 財布は兄が買ってきてくれているということを分かっているんだろう。


 でも、ティーポットを選んだのが少し意外な気がする。


「分かった。咲と一緒に選んでくるよ」


「でも、ケーキとかでもいいよ」


 私はそんな愛理の言葉に笑顔で応えていた。
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