隣の先輩
 そう言ったのは母親だった。


 彼はちらっと私を見ると、笑顔を浮かべる。


「行き先は一緒みたいだから、学校まで案内しますよ」


 彼はそう言うと、私たちを先導するように歩き出した。


 私と母親はその後についていくことにした。



 私たちの迷っていた場所から学校まではそこまで離れていなかったが、細い道やら、変な道をたどったことだけは覚えていた。


 受験のときや学校説明会のときに確かに来た学校に到着し、ほっとする。


「保護者の方は体育館に入ってもらいますから、あそこです」


 彼の指差した先にはすぐに体育館と分かる建物があった。少し老朽化しているように見える。
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