隣の先輩
 彼と一緒に行ったのは比較的新しい校舎の前に張られている掲示板だった。


 そこには同じ制服を着た人が集まり、人だかりができていた。


「安岡、何?」



 突然苗字を呼ばれて、どきっとする。


 何も言えずに彼を見ていた。


 私がじっと彼を見ていたからだろう。


 彼は戸惑いを隠せない表情を浮かべていた。


「下の名前」


 その言葉に我に返る。


「真由です」


 彼はそのまま視線を掲示板に向ける。


「二組か。じゃ、隣だな。行くぞ」

< 22 / 671 >

この作品をシェア

pagetop