隣の先輩
 彼はそう言うと、歩き出した。


 私は意味がよく分からなかったが、とりあえず彼の後をついていくことにした。

 彼が「隣」といった意味はすぐに分かる。


 私のクラスらしい一年二組の教室の隣は三年一組の表示があった。


 それが彼のクラスなんだろう。


「それが君のクラス。あとは多分分かると思うから」


 彼は穏やかな口調でそう言うと、私に背を向ける。


 そのとき、彼にお礼を言っていなかったことを思い出す。


「ありがとうございました」
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