隣の先輩
「あの日って、私の帰りが遅いから送ってくれたんですか?」


 その言葉に、先輩は驚いたような顔をしていた。


「宮脇から聞いたのか?」


 どうして宮脇先輩の名前が出てくるんだろう。


 そう思って先輩を見ていた。


 先輩は私の疑問に気付いたのか、わざとらしくため息を吐いた。


「まあいいや。忘れてくれ」


 会話の流れを辿ると、先輩は否定はしなかった。


 ということはそうだったんだろうか。


 ほんの少し先輩の顔が赤くなっているような気がした。


 その顔を見られただけで満足で、それ以上は問いかけるのをやめた。


「宮脇もこの前、図書館を出たとき顔色が悪そうだったって心配していたよ」
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