隣の先輩
第17章 もう一つの約束
球技大会の日、試合のある場所に向かおうとしたとき先輩に会う。
先輩は私のところまで駆け寄ってくる。
やっぱり先輩は昨日の「約束」があるのに、いつもと変わらなかった。
「今から」
「そうです」
私はできるだけ気持ちを顔に出さないように笑顔になる。
「頑張れ」
そう言って私の頭を撫でる。
昨日の二人の約束が頭を過ぎる。
それでも、うれしいと思っていた。
たとえ、先輩が宮脇先輩に優勝してほしいって思っていたとしても、嬉しい。
先輩が私に構うのは子供扱いしているからなんだって分かっている。
それでも先輩からそう言われると、その言葉が特別になったみたいに嬉しく感じてしまう。