隣の先輩
なんだか不思議だった。
「迷惑だったかなってさ」
「そんなことないです。
誘ってくれてすごく嬉しかったです」
そのとき、人の話し声が聞こえた。
我に返って辺りを見渡す。すると、道行く人が歩いていて、ちらちらと私たちを見ているのに気づいた。
「とりあえず、帰ろうか」
先輩はそんな視線に気づいたんだろう。そう言ってきた。
私は先輩と一緒に帰ることにした。
家の前まで来ると、先輩が私に声をかける。
先輩は鍵を鞄から取り出し、ドアノブに差し込んでいた。
私はその後姿を見ながら、息を吸い込む。
「あの、勝手かもしれないけど、来年一緒に行きませんか?」
それは私にとって精一杯の言葉。緊張で胸がドキドキしていた。
先輩が返事をしてくれるまでの時間がものすごく長く感じてしまった。
先輩は目を細めて笑っていた。
その笑顔を見た瞬間、緊張がほぐれていくのが分かった。
「来年、この時期は戻ってくるようにするから、一緒に行こうか。彼氏とかできたらこの約束はちゃらにしてくれてもいいから」
「戻ってくる?」