隣の先輩
第25章　時間が止まってくれればいい
　翌日、先輩は私が家を出た待ち合わせ時刻の五分前には既にいた。


　今日は寝坊しなかったんだ。


　私は今日の行き先を知らない。


　だから、先輩に聞いてみた。


「どこに行くんですか？」


「秘密。行こうか」


　先輩はそう言うと、歩き出した。


　私は首をかしげながらも、先輩の後を追うことにした。
　私は先輩が足をとめた場所を見て、また、首をかしげる。


　先輩が足をとめたのは映画館。


　その前には、朝早いのに関わらず、人がごった返している。


「なんでここなんですか？」


　正直、先輩が映画を見るというイメージがいまいちわかない。


　先輩が何の映画を見たがるんだろう。　


　愛理みたいに、絶対に恋愛物だけは見ないタイプに見えるから。


　私は話題の恋愛映画の隣に見たことのないタイトルの映画を見つける。


　どうやらSF映画のようだった。
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