隣の先輩
 気軽に顔を合わせることもできなくなるのに。

 大学に受かったら、先輩にも彼女ができるかもしれないのに。


 帰ってきて一緒に遊ぶなんてこともできなくなるかもしれないのに。


 先輩の気持ちがうれしいけど、すごく苦しくて



 どうしたらいいのか分からなかった。


 どうして先輩はそこまで私にしてくれるの?


 子供みたいでほうっておけないから?


 期待してはいけないことをつい期待しそうになってくる。


 私は先輩とつりあうわけもないのに。


 先輩に彼女がいなくて、先輩の優しさを感じられる。


 このまま時間が永遠に止まってくれればいいのに。


 私は流れていく映画の映像を見ながら、そんな現実には起こりえないことをただ考えていた。

 先輩の頭が離れたのは物語も終盤に差し掛かったとき。


 先輩は体をびくつかせると、辺りを見渡していた。

< 411 / 671 >

この作品をシェア

pagetop