隣の先輩
第27章 夏の終わり
 私は太陽の光を腕でさえぎるようにして歩く。


 母親から買い物を頼まれた帰りだった。


 いつものようにマンションの中に入ろうとしたとき、私の少し前を背の高い女の人と男の人が歩いているのに気づいた。


 宮脇先輩と西原先輩だった。


 私は思わず近くの物陰に隠れる。


 でも、そんなことも必要ないくらい、二人はマンションの中に消えていく。


 デートでもしていたんだろうか。


 そう考えると、複雑な気持ちになっていた。

 私は少し時間を置いて、中に入る。エレベーターは五階でとまっていた。


 ボタンを押し、エレベーターを呼ぶ。そして、五階まで行く。


 もちろん、二人はもう中に入ったんだろう。廊下にはいなかった。


 私は鍵を開け、家の中に入ることにした。


 気にしても仕方ないことくらいは分かっていたからだ。


 私だって家の中に入ったことはある。


 先輩は結構あっさりと人を招きいれることは分かっているけど、それでも宮脇先輩がとなると、それは別物だった。
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