隣の先輩
 夏休み最後の日に、愛理を誘い映画を見に行った。ファンタジー映画で、愛理も行きたいと思うようなものだったのだ。


 そのとき、愛理の財布が今まで使っていたものから、依田先輩が愛理の誕生日にと買っていた財布になっているのに気付きいた。



 財布を選んでいた先輩の姿を思い出し、ほほえましかった。


 二学期に入ると、すぐに体育祭がある。


 練習は二学期にはいってすぐ始まり、あっという間に本番になる。やっぱり私の友達はみんな目立っていた。


 私は最低限の種目に出て、後は応援に徹していた。


 宮脇先輩は短距離で一番だった。 


 今日、賭けをしたら間違いなく、先輩とデートできたのに、と思っていた。


 でも、球技大会を賭けの対象にしたのは、夏休みがあるからだろう。


 この学校では文化祭がないので、秋になるともう受験モードになっているみたいだった。


 先輩と朝や帰りに会って話すことは会っても、今までのように一緒に出かけることはなくなっていた。


 受験が終わると、合格発表を待って、先輩はすぐ向こうの学校に行ってしまうんだろう。


 そのことが分かっていたけど、やっぱり先輩がどれだけ努力しているか分かっていたから


 もう会えなくなるのは寂しいけど、受かってほしいとは思っていた。

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