隣の先輩
第28章　先輩の気持ち
　暑かった夏はあっという間に過ぎ去ってしまう。


　そして、時折、体を冷やす風が流れる時期になっていた。


　緑の木々は姿を変えていく時期。


　高校一年でも、人によっては志望校を固めだす子もいる。


　二年になったら、理系と文系のクラス分けがあるから、少し考えておかないと後々大変だからだろう。


「好きです」


　切なさと想いを込めた声が辺りに響いていた。

　その声に導かれるようにして、声のした方向に目を向けていた。


　そこには見たことない女の子と、もう一人。


　西原先輩の姿があった。


「今は誰ともつきあう気もないから。ごめん」


　先輩はほとんど迷った様子もなく、そう答えていた。


　告白されたらこう答えると決めているみたいだった。


「そうなんですか。ごめんなさい」


　彼女は先輩に背を向けると、走り去っていく。
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