隣の先輩
 その言葉に先輩は笑っていた。


「お前らしくていいと思うよ」

「私らしいって?」

「そのままの意味」


 そう言うと、先輩は歩き出す。


 最近、一緒に学校に行くことが多くなっていた。


 残り少ない日数、先輩と一緒に学校に行きたかったから、時間を合わせていたこともあるんだと思う。


 先輩が私の少し前を歩いて、その後を追っていく。


 もう、そんな光景も数えるほどしか味わえないからだろうか。


 そんなことがただいいなって思っていた。


 先輩が誰かから告白されたという話は何度か聞いた。


 今でも先輩に彼女はいなかった。


 やっぱり先輩は誰から告白されても断り続けているようだった。
< 486 / 671 >

この作品をシェア

pagetop