隣の先輩
 あっという間に二学期が終わりを告げる直前になっていた。


 そして、先輩たちはもう学校に来なくなることを暗に告げているようだった。


 その時期を待っていたように、寒波が襲ってきていた。


 その日、帰りに偶然先生に捕まった私は雑用を頼まれてしまい、上手く逃げ出せなかった。


 で、その用事を終え、教室に戻ると先輩の教室の電気がついているのに気づいた。


 誰が残っているんだろう。


 なんとなく気になって、教室の前に立つ。


 先輩が残っていたら、一緒に帰ろうと思ったからだ。


 少しの隙間を探して、教室内を覗く。


「そうかな」


 そんなたいした言葉でもないのに反応してしまっていた。どきんと胸が高鳴るのが分かった。


 先輩の声だった。


「そう思うし、みんな噂しているよ。乗り換えたんじゃないかって」


「乗り換えるって」
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