隣の先輩
 でも、その初恋が終わった後も、色んな始めてが襲ってきていた。


 今は苦しいことだけが多かった。


 いつかきっとそれから抜け出せると思うから。


「無理にとは言わないけど、先輩って大学外に出るんだろう?」


 私はその言葉にうなずく。


 やっぱり大学は受かってほしいから、落ちることを望むことはできない。


「三月には笑っておめでとうと言えるように頑張るよ」

 今なら、先輩に会おうと思えば会えるから。


 あと三ヶ月と少し。決して長くも短くもない時間。


 その間に、このもやもやとした気持ちと別れようと決めた。


 そのとき、冷たい風が吹き抜ける。


 私は寒さを覚えて、肩を抱く。


「教室に戻ろうか」



 私は森谷君の言葉にうなずいていた。私は非常階段から廊下に戻ったとき、廊下にいる人影を見つけてドキッとする。


 そこにいたのは西原先輩と、宮脇先輩。


 二人は笑顔を浮かべて話をしている。


 やっぱりこの二人はお似合いだと思う。


 この二人がつきあってくれればいいなと思った気持ちは今でも変わらなかった。


「あ、真由ちゃん」


 宮脇先輩は私を見て、笑顔を浮かべる。
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