隣の先輩
第33章 クリスマス
 明るいオーナメントが街を照らす。それらの光はこの日のために準備されたもの。


 街では踊るような音楽が流れ、人もどことなくざわついている。


 今日はクリスマスイブ。別にこれといって予定はなかった。


 クリスマスはケーキはこの前母親がケーキを買ってきたお店で予約をしていた。


 母親はその日、出かけるとかで、私が夕方、ケーキを取りに行くことになっていた。


 もう冬休みに入っていた。宿題を終わらせると、時刻はニ時を回っていた。


 お店に指定された受取時刻は三時以降。


 今から準備をして、適当にふらつけば、余裕で過ぎてしまうような時間だった。


 襟のあるウールでできたブラウンのワンピースに袖を通す。


 そしてそれよりもほんの少し暗いブラウンの比翼の膝の辺りまでの長さのあるコートを着る。


 リビングには裕樹の姿があった。


 彼は何かの本を読んでいるみたいだった。


 裕樹に声をかけると、ロングブーツを履き、家を出ることにした。


 家の外に出ると、冷たい空気が襲ってきた。私は急いでエレベーターのところに行き、ボタンを押す。
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