隣の先輩
第35章 大晦日
大晦日の日は両親は買い物に行くとかで午前中に家を出て行った。
私は先輩におめでとうを言う隙をうかがっていたけど、なかなかそんなタイミングをつかめない。
先輩の誕生日だと分かっていても、特別何かを買ったりはしていない。
もちろん、買いたい気持ちはあったけど
好きでもない人から誕生日プレゼントをもらっても
先輩が喜んでくれるか分からなかったからだ。
裕樹はリビングでゲームをして遊んでいた。
メールで言おうかなと思ったとき、チャイムが鳴る。
ゲームをしていた裕樹がコントローラーを置いて、玄関まで飛び出していた。
誰だろうと思って、玄関を覗いたときだった。
私はそこに立っている人の姿を見て、首をかしげる。
先輩が何か本のようなものを持ってきていた。それを裕樹が受け取っていた。
「あがっていく?」
裕樹の言葉に先輩は首を横に振る
「今日はいいよ」
そう言うと先輩と裕樹は少し他愛ない会話をしていた。
裕樹を見ていた先輩が私をチラッと見る。
「元気?」
そう言うと、先輩は笑顔を浮べていた。
先輩と顔を合わせるのはクリスマス以来だった。