隣の先輩

 愛理は全て抽象的に語っていた。具体的に私にこうしろとか、ああしろと最近は言わなくなった。


 いつくらいからかなと思ったら、冬辺りなのかもしれない。


 それは別に先輩に告白をしろって言っているわけじゃないと思う。


 告白をしなくても、そんなに後悔はしない気がする。


 少しずつ、自分の気持ちを整理できるようになってきたから。


 でも、今までのお礼の意味を込めて、上手く言えないけれど、先輩が大学に受かって、先輩の夢を叶えてくれればいいなって思う。


 言えないと思っていたけど、やっぱりそういう気持ちだけは伝えたかった。


「そうだね」


「プレゼントは次の日曜日に持ってくるね」


「ありがとう」


 学校で先生に見つかると大変なので、日曜日に遊びに行くついでに持ってきてもらうことになった。


 愛理の誕生日にはティーポットを買い、その少し先にあった咲の誕生日には置時計をかっていた。


 私は愛理たちと別れると、家へ帰る。


 一月に入ると、日を追うごとに寒くなってくる。


 吐く息が白くなるなんてことや、マフラーなどは欠かせないということも当たり前の情景になっていた。


 でも、体を痺れさせるような寒さを感じても、あまり雪が降ることはなかったので少し物足りない。



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