隣の先輩

 その言葉があたたかくてやっぱり嬉しい。


「ありがとうございます」

「どういたしまして。あと、誕生日おめでとう」

「ありがとうございます」


 そう言った先輩の声は穏やかですごく優しかった。


 別に誕生日なんてそんなに思い入れがあるわけじゃないけど、

先輩からそう言われると、その日が特別な日のように思えてくる。


 それにあれだけ嫌だった先輩の受験を終えた春もほんの少し楽しみになっていた。


 先輩の受験が終わるまでに何かを買いたいなって思う。


 そのとき頭を過ぎったのが、バレンタイン。


 でも、お守りよりもあからさま過ぎるかな。


 もう少しの間だけ迷っていようと思った。
< 559 / 671 >

この作品をシェア

pagetop