隣の先輩
 そのとき、私の視界にマンションが映る。


 その見慣れたマンションの前にすらっとした女性を見つける。


 彼女は私たちと目が合うと、目を細めていた。宮脇先輩だった。


「西原先輩を待っているんですか?」


 私はそう問いかける。


 宮脇先輩は驚いたように目を丸めていた。


「真由ちゃんに用があって」


 宮脇先輩はそう言うと頭を下げる。


「一緒に帰っていただけですから。気にしないでください。じゃ、また」


 森谷君はそう言うと、去っていく。


「本当にごめんね。私っていつも間が悪いよね」


 宮脇先輩は森谷君がある程度、距離をとってから口を開く。


「そんなことないですよ。家にあがりますか?」


 宮脇先輩の表情が明るくなる。


「真由ちゃんの家に行くのって楽しみだね」


 そういう表情を浮かべる宮脇先輩は可愛いなって思ってしまう。
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