隣の先輩

　私がその言葉に何も言えないでいると、宮脇先輩は息を吐く。


　そして、笑顔を浮べると話を始めた。


「私はずっと子供のときから稜のことが好きだったの。稜は私のことを幼馴染としてしか見てくれなかった。


でも、どうしても好きになってほしくて、高校一年のときに稜に言ったの。


一ヶ月だけ彼氏になってほしいって。好きになってくれなかったら諦めるからって」



　その彼女の言葉に勝手に今の自分の状況を勝手に重ね合わせていた。


　そして、宮脇先輩から目を離すことができなくなっていた。


「なんとなく分かると思うけど、一ヵ月後にしっかりと振られたの。それが稜の言っていた元カノの意味なんだよ。


だから、私が稜にとってそう思われているとは思いもしなかったんだ」


　宮脇先輩は肩をすくめると、苦笑いを浮かべていた。


「だから、私と稜の間は幼馴染でしかないんだよ」

　だから、彼女は忘れなきゃいけないと言っていたんだ。


　私は彼女を傷つけていたのかもしれない。



　その言葉がこの前よりも、より現実的なものとなる。