隣の先輩
 私は先輩に断って、リビングに戻る。そして、学校の先輩が来ていることを伝えておいた。


 私は母親からクッキーを渡され、部屋に戻った。


 それからは宮脇先輩と他愛ない話をしていた。


「私が大学受かったら、遊びに来てね。やっとお兄ちゃんから一人暮らしをしていいって言われたから」


 そう宮脇先輩は笑顔で言う。


「いいんですか?」


「うん。是非。私は真由ちゃんのこと友達って思っているから」


「絶対行きます」


 親を説得するのが大変そうだけど、女の先輩の家なら大丈夫かな。


「真由ちゃんは明日、休みだよね」

「はい」


 卒業式に出るのはクラスで数人だけ。


 私は出ないので、学校に行く必要はなかった。



「春休みの間、真由ちゃんの都合がよかったら遊ぼうね」


 そう約束を交わすと、宮脇先輩は帰っていく。


 私はマンションの前まで宮脇先輩を送ることにした。


 去っていく彼女の後姿を見ながら、もう明日のこの時間は先輩達は学校を卒業してしまって、先輩が先輩じゃなくなる。そう思うと、変な感じがした。


 私はまだ青い空を眺め、息を吐く。


「私も自分のやらないといけないとね」


 迫り来る学年末試験に想いを馳せるが、もう一つのことが気になっていた。


 告白、か。


 でもそれはまだ私には重かった。

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