隣の先輩
第46章 特別な場所
先輩が引越す最後の日、先輩と待ち合わせをしたのはいつもと同じ家の前だった。
でも、違うことが一つだけある。
明日には先輩が隣にいない。
おじいさんの家までは和葉さんがついていく。
和葉さんが気を遣ってくれたのか、駅まで先輩とは別々に行くことになったみたいだった。
私は先輩と一緒にマンションを出る。そのとき、私の目の前に手が差し出された。
「行こうか」
先輩の言葉に笑顔を浮べる。
大丈夫。
先輩と最初に手を握ったのはテーマパークのとき。
私の迷子防止のためだったらしいけど、そんなことでも嬉しかった。
「まだ時間あるから、行きたいところがあれば言っていいよ」
先輩は荷物をほとんど持っていなかった。
そんなに荷物の入っていないショルダーバッグが一つ。そのために身軽にしてきてくれたのかもしれない。
「一つあります」
「どこ?」
「秘密」
言わなかったのは、先輩に気づいてほしかったからだ。
そんな場所は記憶の片隅に追いやられているのかもしれない。
でも、私にとっては大事な場所の一つだった。
この街に住んでいる人の中で、この場所をこんなに大事に思っているのは私だけだと思う。
でも、違うことが一つだけある。
明日には先輩が隣にいない。
おじいさんの家までは和葉さんがついていく。
和葉さんが気を遣ってくれたのか、駅まで先輩とは別々に行くことになったみたいだった。
私は先輩と一緒にマンションを出る。そのとき、私の目の前に手が差し出された。
「行こうか」
先輩の言葉に笑顔を浮べる。
大丈夫。
先輩と最初に手を握ったのはテーマパークのとき。
私の迷子防止のためだったらしいけど、そんなことでも嬉しかった。
「まだ時間あるから、行きたいところがあれば言っていいよ」
先輩は荷物をほとんど持っていなかった。
そんなに荷物の入っていないショルダーバッグが一つ。そのために身軽にしてきてくれたのかもしれない。
「一つあります」
「どこ?」
「秘密」
言わなかったのは、先輩に気づいてほしかったからだ。
そんな場所は記憶の片隅に追いやられているのかもしれない。
でも、私にとっては大事な場所の一つだった。
この街に住んでいる人の中で、この場所をこんなに大事に思っているのは私だけだと思う。