隣の先輩
私は意味が分からずに、携帯を差し出す。
すぐに音楽が流れ、先輩が携帯を切ったんだということに気づいた。
「何をしているんですか?」
先輩は無言で、自分の携帯を触っていた。そして、それが終わると私に携帯を返す。
「駅を出るまで、電源入れるなよ」
「どうして?」
「どうしてでも」
先輩の言うことはよく分からない。でも、それくらいならいいかなとも思っていた。
「先輩は相変わらずですね」
そのとき、先輩の手が私の頬まで伸びてきた。
その手が私の頬に優しく触れる。
「もうお前の先輩じゃないから、名前で呼べよ。敬語もいらないから」
撫でるのかと思った先輩の手が私の頬をぎゅっと抓った。
何でこの人はこうなんだろう。
抓るのが本当に好きだなって思う。
でも、名前で呼ぶのに密かな憧れもあったのかもしれない。何度も心の中で先輩の名前を繰り返し呼ぶ。そして、やっと口にした。
「り、稜、先輩」
最後に先輩とつけたのは、恥ずかしさを紛らわすため。
「失格。きちんと言わないとメールを送ってやらないから」
「稜、真由ちゃんに何をしているのよ」
和葉さんがそう言うと、割り込んできた。
いつの間に来ていたんだろう。全く気づかなかった。
先輩の手が同時に離れる。
「本当にあなたは自分の彼女なのに、そんなことばかりして。嫌われても知らないわよ」
先輩は和葉さんの言葉に適当に返事をしているようだった。
そのとき、先輩達の乗る電車が入ってきた。
その電車を見て、心が痛む。でも、大丈夫だって言い聞かせる。
すぐに音楽が流れ、先輩が携帯を切ったんだということに気づいた。
「何をしているんですか?」
先輩は無言で、自分の携帯を触っていた。そして、それが終わると私に携帯を返す。
「駅を出るまで、電源入れるなよ」
「どうして?」
「どうしてでも」
先輩の言うことはよく分からない。でも、それくらいならいいかなとも思っていた。
「先輩は相変わらずですね」
そのとき、先輩の手が私の頬まで伸びてきた。
その手が私の頬に優しく触れる。
「もうお前の先輩じゃないから、名前で呼べよ。敬語もいらないから」
撫でるのかと思った先輩の手が私の頬をぎゅっと抓った。
何でこの人はこうなんだろう。
抓るのが本当に好きだなって思う。
でも、名前で呼ぶのに密かな憧れもあったのかもしれない。何度も心の中で先輩の名前を繰り返し呼ぶ。そして、やっと口にした。
「り、稜、先輩」
最後に先輩とつけたのは、恥ずかしさを紛らわすため。
「失格。きちんと言わないとメールを送ってやらないから」
「稜、真由ちゃんに何をしているのよ」
和葉さんがそう言うと、割り込んできた。
いつの間に来ていたんだろう。全く気づかなかった。
先輩の手が同時に離れる。
「本当にあなたは自分の彼女なのに、そんなことばかりして。嫌われても知らないわよ」
先輩は和葉さんの言葉に適当に返事をしているようだった。
そのとき、先輩達の乗る電車が入ってきた。
その電車を見て、心が痛む。でも、大丈夫だって言い聞かせる。