隣の先輩
第47章 春
玄関を開けると、外に出る。柔らかい日差しがキラキラと輝いて降り注いでいた。
今日から高校二年生になる。何気なく、先輩の家のドアに目を向ける。
入学当初、先輩と一緒に通っていた時間帯なのに、そのドアが開くことはなかった。
当たり前だけど、もう先輩はここにいないんだということを改めて実感していた。
西原先輩や宮脇先輩から大学のことをメールで教えてもらった。
それでも、どこか遠い世界のできごとみたいに実感がなかったのかもしれない。
物寂しさを感じながら、唇を噛む。
先輩がいないと分かっていても、いつものように出てきて、私の頭を撫でたり、優しい声で話しかけてくれたり、そういうことをしてくれるんじゃないかとか、つい考えてしまいそうになる。
私は自分の頬を抓った。
今日から新学期なんだ。しっかりしなきゃと思う。新しいクラスも今日発表になる。
マンションの外に出たとき、携帯が鳴る。発信者の名前を確認して、飛びつくように通話ボタンを押していた。
「家出た?」
「今出たところです。何かありました?」
「用はなかったけど、声が聞きたくなったから」
その先輩の言葉がくすぐったかった。
私は天を仰ぐ。
「私もそうですよ」
私は先輩にいっぱい優しさをもらった。だから、寂しさは感じると思うけど、大丈夫だって思える。
今日から高校二年生になる。何気なく、先輩の家のドアに目を向ける。
入学当初、先輩と一緒に通っていた時間帯なのに、そのドアが開くことはなかった。
当たり前だけど、もう先輩はここにいないんだということを改めて実感していた。
西原先輩や宮脇先輩から大学のことをメールで教えてもらった。
それでも、どこか遠い世界のできごとみたいに実感がなかったのかもしれない。
物寂しさを感じながら、唇を噛む。
先輩がいないと分かっていても、いつものように出てきて、私の頭を撫でたり、優しい声で話しかけてくれたり、そういうことをしてくれるんじゃないかとか、つい考えてしまいそうになる。
私は自分の頬を抓った。
今日から新学期なんだ。しっかりしなきゃと思う。新しいクラスも今日発表になる。
マンションの外に出たとき、携帯が鳴る。発信者の名前を確認して、飛びつくように通話ボタンを押していた。
「家出た?」
「今出たところです。何かありました?」
「用はなかったけど、声が聞きたくなったから」
その先輩の言葉がくすぐったかった。
私は天を仰ぐ。
「私もそうですよ」
私は先輩にいっぱい優しさをもらった。だから、寂しさは感じると思うけど、大丈夫だって思える。