隣の先輩
私はその言葉に首をかしげる。
「違った? だから俺に代わりに連れて行ってやれって言われたんだけど」
先輩の話をまとめると、私が愛理と約束をしていて、愛理が行けなくなった。
だから、先輩に連れて行けと頼んだってことなんだろう。しかし、勝手に愛理の名前を使ってしまっていいんだろうか。
依田先輩の妹だからいいのかな。明日、謝っておこうと決める。
「はい。でも、嬉しいかなって」
その嬉しいは先輩と行けるから嬉しいの意味。
でも、先輩はきっとテーマパークに行けるのが嬉しいと思ったんだろう。優しい笑顔を浮かべていた。
「じゃ、日曜日にね」
私は時間を決めると、何度もうなずいていた。
絶対に忘れないようにしなければと思う。
翌朝、学校に行くと、愛理にその話をした。彼女は兄から大まかなことを聞いていたのだろう。
特に驚いた素振りも見せなかった。
「聞いたよ。別に気にしないで。話ならばっちりあわせてあげるから」
愛理はそう言うと笑顔を浮かべていた。
「でも、何かあったら教えてよね」
「あればね」