隣の先輩

 私のそのときの反応がおかしかったのだろう。先輩は不思議そうな顔で尋ねて来た。


「いえ、何でもないです」

 しかし、家を出てすぐ待ち合わせというのは心臓にかなり悪い。身構えるのが玄関先ということになるからだ。


 少しは髪の毛とか頑張ってきたことに気づいてくれるんだろうか。


 口に出しては言ってくれないと思うけど、気づいていてくれたらいいなと思う。


「じゃ、行こうか」


 先輩はそう言うと歩き出す。


 私は彼の後ろをついていく。


 そのテーマパークはここから電車で一時間くらいかかるので、結構遠い。


 でも、意外と苦痛には感じなかった。


 先輩と一緒にいられるからかもしれない。


 切符を買うとホームまで行く。


 そこに停まっていた電車に乗り込んだ。


 電車の中は比較的人が多い。

< 99 / 671 >

この作品をシェア

pagetop