虹の橋
2人のバイト先は小さな喫茶店。

コーヒーや軽食を出しているが、お世辞にも美味しいとは言えなく

外装もオシャレではない。

それでも店が潰れないのは
このご時世には珍しく全席が喫煙席だからだと、
ひそかに思っている。


ホール2人、キッチン1人で店を回していて

あとは店長が事務所で経理をしている。


遅番はたいてい、私と麻由子と、あとキッチンの男の子。

この3人は戦友みたいなもので、とても仲が良い。

やってくるお客は中年のサラリーマンばっかりで給料も安い。

そんなこの喫茶店で私が2年もバイトしてるのは

麻由子と一緒なのが気楽なのもあるけど

1番は、キッチン担当である爽太がいるからだ。
もう1年も片思いをしている。

今までは側にいれるだけで十分だった。
下手にこれ以上を求めて失いたくなかった。

でも…


もう時間がないことも知っている。

来年の4月からは一般事務として就職が決まっているからだ。
特にやりたいわけじゃないけど、そんなもんだと思っている。
人生なんて。



ただ、爽太だけは…




そう想うと胸がチクリと痛んだ。


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