僕 の 愛 し い 人 [ホラー]
―――3ヶ月前の夜。
出所した僕は町をフラフラしていた。
することもなくて‥
もう夜も遅い。
開いている店は居酒屋とファミレスぐらいだ。
居酒屋‥‥僕も酒を飲みたい。
そんな金ないけど‥‥
―ドンッ
何かが肩に思い切りぶつかった。
『ってーなあ!くそジジイ!
前見て歩けよ、カス!』
怒鳴る奴の顔を見ると女だ。
酒臭い。
髪は明るい茶色‥いや、金にちかい。
ミルクティーみたいな色。
化粧もケバいが目は元から大きいのだろう。
綺麗‥‥より可愛いの方が当てはまる。
『聞いてんのかよ?!』
女は僕の胸倉を掴みかかってくる。
『もー!桜!やめなって!』
桜‥?ああ、この女の名前か。
『ぶつかったのは君だろう。』
僕は冷めた目で桜と呼ばれた女を睨む。