百万回のイエス
はっとして時計を見る。
遅刻する!!
ぼんやりしている暇なんて無いのに、つい立ち止まってしまっていた。
前方にいる彼女の横を速足で通りすぎる。
顔をちらりと見て、また足を止めそうになった。
白い肌に丸くアーチを描いた瞳は、長い睫毛に彩られている。小さな口は薄く、赤い。
ものすごい、美人な子だな・・・
何とか足を止めずにすんだが、彼女の容姿が頭に住み着く。
彼女の方は全くと言ってもいいほど反応を示さなかったが。