百万回のイエス
「柏木!!5時になった!行くぞ!」
浜岡が俺の肩を叩いた。俺ははっとしてパソコンから顔を上げる。
5時ジャストかよ・・・
時計は5時ぴったりを指している。瞳をキラキラさせて横に立って急かす浜岡に合図を送って立ち上がった。
ブーンと小さな機械音が鳴るエレベーターに乗り込んで言う。
「そんなに急いでどこ行くつもりなんだ?」
ブルーにストライプの入ったネクタイを人差し指で弛める。
「ん?お前んち。」
・・・は?俺の家?
「は?酒ないぞ。」
また意味の分からない事を言い出した。一階に着いたエレベーターが少し上下に揺れる。開いたドアから大理石張りの床に踏み出して浜岡は言った。
「まずは着替えんだよ!行くとこはべーつ!」
「・・・その口、縫ってやろうか。」
「やーよ!ほら、急ぐ!」
外は綺麗に夕方だった。