キョウアイ―狂愛―
「どうしたのよ!?」
事の顛末を知っているかのような口振りのサイファに、クレアは詰め寄る。
自分が追い詰められていた事など忘れてしまっているようだ。
「それほど気になるのか……?あんな汚らわしい野盗が……」
皮肉な笑みを浮かべサイファは口を開いた。
「――――切り捨ててやったよ」
クレアの目は大きく開かれた。
「これで満足か!?
想像通りの答えだろう?」
サイファの返答は事実とは違っていたが、
もし、あの時、クレアがあの男を崖から突き落とさなければ、必ずやそうしていた。
そうしてやりたかった。
「お前に近づく輩は全て、一人残らず、排除してやる」
クレアを掴んだ手に力をこめ、サイファは言い聞かせるようにゆっくりと見据えながら言葉を吐いた。
「誰一人としてお前を幸せになんて出来ないし、させない!」
シアンとか言う男も、下品な野盗も、アルザスだって…………そんな事は許さない!
「ずっと一人、死ぬまで一人だ、クレア」
―――俺を選ばぬ限りは…………!
「サイファ様……」