キョウアイ―狂愛―




いつの間にか、サイファの少し離れた後ろにマイメイが立っていた。




サイファは我を取り戻すかのように大きく息をつくと、



「いづれ近い内に屋敷に連れ戻してやる。花を愛でていられるのも今の内だけ。
せいぜい楽しんでおいで……」



意地悪く囁いて、身を翻し行ってしまった。




マイメイが去り際にクレアに視線をやると、蒼白の顔面で去りゆくサイファの背を見ていた。


そっと一礼し、マイメイはサイファを追いかけた。








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