キョウアイ―狂愛―
(ヤギの血も美味しいのにな……。
都会の同族はそんなもの飲んだりしないのだろうか?)
ラフランディの話を聞くとマイメイはいつもそんな事を考えていた。
ラフランディはトルティアのリドル家で乳母の仕事をしていた。
リドル家で起こった大火事をきっかけに、辞職し故郷へ戻ってきたのだ。
「リドル家を焼きつくした大火事は、双生児が呼んだ災厄。
古くから継がれて来た掟を破った為に起きた」
「この小さき集まりとて同じ。いつ破綻するやもしれん。
自分を律し、自然と上手く共存しながら細々と生を継ぐのが私どもに残された道じゃ」
―――自然からはみ出した存在である人間とは違うのだ
「あやつらの様に傲慢な態度などとってご覧
我ら微弱な異形などすぐに滅んでしまうだろう……」
そう言ってラフランディはマイメイに繰り返し、人間の恐ろしさや、吸血種の掟について話して聞かせるのであった。