キョウアイ―狂愛―
数日後の食事の席での事だった。
「そういえば……」
サイファが徐に口を開く。
「クレア……君、最近友達ができたらしいね?」
何気ない口調で話しかけてきたのでクレアも普通に、
「友達?」
パンを摘まみながら聞き返した。
「そう……、あの腕のいい庭師」
サイファの声のトーンが低くなる。
不思議に思ったクレアが顔をあげると、ワインを口に含むサイファと視線が交わった。
タン
ワインのグラスをテーブルに置いたサイファは、にっこりと微笑む。
「良かったね」
いつかのように寒気を感じる笑顔だった。
そして次の瞬間、
テーブルに飾られた花瓶を思い切り手で払ったのだ。
派手な音を立て、床に落ちた花瓶は砕け散った。
中の水、花と花瓶の破片がその場に散らばる。
「まぁ、お二人共、お怪我はごさいませんか!?」
何事かと召使いが数人、食事の席に飛び込んできた。
「この花を育てた庭師を呼べ」
サイファは席を立ち落ち着いた声で使用人に命じた。