キョウアイ―狂愛―
クレアがふと目を覚ますと夜中だった。
部屋は真っ暗で
ベッドの天涯にかけられた薄絹の向こうに見える窓の外は、暗く静まり反っている。
ただ月明かりの仄かな光が窓からさし込んでいた。
夢うつつの状態で、いつもと違う様子の部屋に目をさ迷わせると、
壁にかけられた一枚の絵に気づく。
五、六人の人物の集合絵だった。
額こそ立派な物だったが、中身の絵はボロボロに汚れ一部焦げ落ちたような箇所も見受けられる。
その人物達の中に見覚えのある顔を見つけた。
自分とサイファ……。
前に二人並んで立っていた。
少し幼い二人を抱くように女性が描かれていたが、
二人以外の人物は、全て首から上が破れているのか、焦げ落ちたのか……、顔は分からなかった。
(サイファがやったんだ……)
なんとなくそう感じたクレアは、ここがサイファの寝室だったという事を思い出した。
視線を動かしサイファを探す。
彼は窓際に一人座っていた。