キョウアイ―狂愛―
そう、いつからシアンといたのかは思い出せないのだが、クレアの記憶する初期の頃のシアンはまだ幼かった。
自分は最初から今と変わりない。
シアンはやがてクレアの身長、年齢に追い付き、追い越した。
初めの頃は姉弟(きょうだい)に見られていたが、いつしか夫婦のように思われていた。
よく考えてみるとおかしな話だ。
転々と住み家を変えていた為、怪しむ者がいなかった。
シアンも当然のように振る舞っていた。
不思議でならない。
まさか本当に三十年の年月が経過してるとは思いはしないが……。
シアンと暮らし始めたのはいつの事だったのかしら……
クレアが一生懸命思い出そうとしても頭がチリッと痛むだけ。