キョウアイ―狂愛―
―――…ピチャン
この浴場は見たこともないほど立派だった。
何人も入れそうな広い浴槽にたっぷり湯を張り、花が浮かべられている。
数人の召し使いが自分の為に奥に控えている。
シアンと暮らしていた古い家には浴場なんてなくて、冬場以外は川で水浴びして汚れを落としていた。
でもそれでいい……。
シアンと暮らした家に戻りたい。
シアンに……会いたい。
クレアは付き人に気取らないようにこっそり涙を流した。