キョウアイ―狂愛―



マイメイが部屋の扉を開くと、


「まぁ!?」


部屋の家具、寝具は赤く染まり、割れたグラスの破片が散乱していた。



クレアは寝間着のまま髪を乱し部屋の隅で縮こまっている。



「クレア様……」



側により差し出したマイメイの手をクレアは払った。


「どうか血をお召し上がりくださいませ。
このままですとお体に異変をきたしますわ……」



穏やかな口調でなだめるマイメイをクレアは侮蔑するような瞳で睨む。



「異常よ!この屋敷の人達は全て!
早くあたしを帰して!
元の村に帰して!!」



そう言われたところでもちろん帰す訳にはいかない。
マイメイの主はあくまでもサイファ1人。

サイファの下した命(めい)はクレアの身の回りの世話をし、この屋敷へ留める事。



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