キョウアイ―狂愛―
ジャリ…
破片を踏みしめサイファはゆっくりと部屋を見回し、終わりにクレアに目を向ける。
「朝からずいぶん派手にやったじゃないか?クレア」
口元には笑み。一見楽しんでいるようにも見えるが瞳は冷めている。
クレアはクレアでマイメイの後ろから鋭い視線をサイファに向け放っている。
サイファの苛立ちをマイメイは肌に感じていた。
(気性の激しいこのお方はきっとクレア様にきつく接されるわ)
このままではお二人の関係が悪くなる事は目に見えている。
それは本来、サイファ様の望まれるところではないのに……。
「サイファ様……ここはわたくしにお任せを」
一触即発を危惧(きぐ)したマイメイは控えめに申し出てみたが、
「下がれ」
一喝。
サイファの目に映っているのはクレアただ一人。
「…………」
マイメイは静かに部屋から退出する他なかった。