キョウアイ―狂愛―



「……同じ…なんだ
僕と……お前は」



悪魔の綺麗な瞳に吸い込まれてしまいそうだ。

クレアは柔らかいベッドに深く押さえつけられながら、相反する感情のはずの恐怖と心地よさを同時に感じていた。



「……違う」


そう感じた自分さえも否定するようにクレアは首を振った。



しかしその行為はサイファの苛立ちを煽(あお)るものでしかなかった。



「同じだ!!」


弾かれたように上体を上げたサイファは、



――自分の手首を噛み切った。




「……っ!」


驚きのあまり悲鳴さえあげられずにいるクレアに、ボトボトと血の滴る手首を近づける。



「記憶を喪失したとしても、お前の身体は覚えているだろう……血の味を」



「さあ、飲めよ」



クレアの口元が血で汚れていく。



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