キョウアイ―狂愛―
サイファは杯の酒を、グッと一息に口に含むと、
間髪入れずクレアを引き寄せ口移しで飲ませた。
サイファの口に含まれた生ぬるい葡萄酒がクレアの口を割って入る。
「んっ……」
焼けるように熱い。……そして甘い。
やはり……血のようだ……。
クレアは思った。
クレアの苦痛に歪む表情をサイファはじっと眺めていた。
口移しが終わりクレアがギュッと瞑った目を開いても、クレアを見つめる美しい瞳がそこにあった。
酒を飲んで潤んだ瞳はいっそう美しい。
「嫌なら抵抗すればいいだろ?」
形よい唇から心地よい声が漏れる。
「お前が以前、僕を焼き殺そうとしたように……」
口を出た言葉は、その雰囲気には到底相応しくはない挑発でしかなかったのだが……。