キョウアイ―狂愛―
「と、まあ、こんなふうにしてオレとお前は出会ったんだ」
―――信じられない!
クレアは空いた口がふさがらない。
ジキルが作り話をして、自分をからかっているのではないか?と、さえ思ってしまう。
明らかに自分だとは思えない言動……。
しかし、衣服に染みた血の量はそうとうなものだった。
そして自分を今にも襲おうとしていた3人の男達。
―――あの声………
頭の中を響くような声。
幻聴だと思っていたが、もしかすると、あれがジキルの見た自分なのかもしれない。
クレアは恐ろしい思いつきに身震いした。
(それにしても………、)
―――あたし、村に帰らなきゃ
シアンの生死を確かめに……。
ううん。シアンはきっと生きてるわ。
クレアは強い意志を胸に口を開く。
「経緯は理解しました。
それで、あの、ジキルさん、あたし行かなくちゃいけない場所が……」
「ジキルって呼んでくれよ?」
またも言葉を遮られた。