キョウアイ―狂愛―
「そ、そうね……。気持ちはとても嬉しいんだけど……」
「ほらみろ!クレアは優しいから『迷惑だっつーの!』って言えねぇんだよ!
オレの事しか見えねぇから他の男の貢ぎ物なんていらねぇのになぁ?
少しは察しろ!」
クレアは勝手に自分の気持ちを解釈しながら、ボカッとラッドの頭を殴るジキルに少しだけ怒った顔を向けた。
(迷惑なのはあなたの方よ!あたしはあなたの女じゃないんだから!)
「だいたいラッドだけじゃねぇんだよな〜?勝手にクレアに盗品を貢いでるふとどき者は……」
ジキルはクレアの視線には気づかないでまだぶつぶつと言っている。
「いいかぁ?
オレ達はその辺の野盗とは訳が違うんだ!
今度、私利私欲の為に盗品を持ち出したヤツは厳罰に処す!
わかったな!?」
声をあらげたジキルに部屋にいた子分達は鎮まりかえった。
ジキルは部屋を見渡し確認すると、ゴホンとわざとらしい咳をし、
「クレア。ちょっと話がある。ついてきなさい」
かしこまってクレアを屋外に連れ出した。