キョウアイ―狂愛―
自分だって、村に戻ってもう一度そこに住もうなんて、馬鹿な事を考えている訳ではなく……、シアンの安否を確かめたいのだ。
「それでよ……」
周りがザワザワと騒いでる中、ジキルは急にかしこまりクレアの目を見つめる。
唾を飲み込んだらしく、喉仏(のどぼとけ)がぐぐっと動いた。
「もし、お前の探し人がいたなら……二人で逃げればいい……。
でも、もし、もう……見つからねぇのなら……、」
「踏ん切りつけて、オレと一緒になれよ」
まっすぐにクレアを見据える目は真剣で、クレアは目を逸らせずにいた。
「………で、でも…、ジキルの話だと、あなたが惹かれたのはあたしじゃなくて……」
――もう一人のあたし
しかし、ジキルは目を逸らしたりしないで、
「確かに初めは奇抜なお前の様相に惹かれたかもしれねぇ……。
……だが」
「オレはお前の事を、一生傍に置いておきてぇぐらい……好きだ、ぞェ」
……………
「あ、お頭かんだ」
「『ぞェ』だって!プッ」
「かっこ悪いッス!!お頭!今のはハズしちゃならないセリフでしたよー」