この思いを君に

書庫以外に行く場所なんか無い。
仕方なくふらふら歩いた。


「おい、今授業中だろう。どこに行くんだ。」

やば…生徒指導の…なんて名前だっけ?

とりあえず、言い訳考えなきゃ…
朦朧とする頭で考えている時、肩を捕まれた。

「っサヨ!すいません先生。こいつまだ保健室の場所わかってないんですよ。」

…高野に。

「はぁ-、保健室の場所ぐらい覚えなさい。」

その先生はため息混じりにそう言った。

「…すいません。」





生徒指導の先生が居なくなったあと、2人で書庫に戻った。



「…高野、ありがと。」

2人で立ち尽くしたまま。
私は沈黙を破るように言った。

「別にいいけど…
俺、サヨをほっとくとか無理。」

「…私っ…その…今は一緒に居ないほうがいい。
私、高野に酷いこと言いそうなの。」

“高野が付き合うって聴いて、嫌な気分になってたの。”

大事なところは

言えなかった。

「嫌だ。」

だけど高野はそう言って、
私を抱きしめた…―――



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