この思いを君に

放課後。

いつものように
下駄箱で春樹を待った。

「みつき!わりぃ待たせた」

「遅いよ春樹ー」

…たぶん言われる。

好きな子が出来たとか
一緒に帰れないとか。

そういうことを。

「あのさ、みつき」

ほらきた。

「俺好きな人できた。」

「…うん」

知ってるよ。

あの子の前で笑う春樹を
見たから。

「その子に誤解とかされたら
ちょっと困るし…
わりぃ!一緒に帰れねぇ」

春樹は申し訳なさそうな顔で
手を合わせて
私の言葉を待っている。

どう言えば自然なんだろう。

「そっか」

早く何か言わないと不自然だ。

「うん、好きな子居るなら
そうしたほうがいいよ!」

「わりぃありがとな!」

春樹の笑顔は
いつもと変わらない
私の大好きな笑顔。

「じゃあまたな」

なのに
急に遠くなってしまった。

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