生きてるアナタへ

｢ええ、そうなのっ?｣


だ、男子?!

私はすっかり女の子だと思ってたから、ナツメの言葉には驚いた。




｢いやぁ、その袮緒って男子。ちょおイケメンだかんね?｣

｢……はあ。｣


やっぱ、仲良くなりたいんでしょ。

そんな顔してるよ、ナツメ。



｢まぢ、かっこいい〜。彼女にして欲し〜〜っ!｣


明日を見ているナツメ。

そっか、今初春だから浮かれてるんだねえ…。


私は気をつけるよ。




｢……男子なんて、みんな下心の固まりだよ｣

｢あぁ、華は苦い思い出あるからね｣


そう。
あれは中学生になりたての頃。


初彼ができて、私は浮かれて、幸せだった。



『なあ華。…俺達、付き合ってんだよな?』



彼の言葉の意味もわからないほど、無知だった私。


『そぅだよ』


嗚呼、馬鹿な華。

その後、どうなってしまうのかも知らずに頷くなんて。



『やぁっ、やめて!』


いきなり襲い掛かってきた彼を蹴り飛ばし、私は走って逃げた。


そいつとは、それっきり。



｢……もう、忘れたよ｣


嘘。


ほんとは覚えてる癖に。




…怯えてる癖に。