生きてるアナタへ
私はもう、浮かれたりしないし。
…恋も、いいや。
「華は経験不足すぎなの。だからそんなに細くて、白いんだよ〜」
「や、関係ないから」
ナツメには、関係ないじゃん。
からかうようなナツメの態度に、私は不機嫌になった。
この件についての話しは苦手。
「あっ、ほら見て!!」
凄まじい大きさの声を上げて、ナツメは興奮している。
そして、ナツメが指をさす先には。
「楠田 袮緒!」
ネオの第一印象は一言で言うと、美形……ってかんじ。
長く、伸ばしているのであろう髪は、黒くてサラサラしているし。
頭から垂れている青いヘッドフォンは、髪の黒を引き立てていた。
……見とれた。
あんな人が、この中学校にいたなんて。
知らなかった。
「ね、イケメンっしょ!」
「…まあ。」
ナツメは『青葉中学校も、ナメたもんじゃないね』と大絶賛。
確かに、気持ちはわかる。
ネオの顔はすごく整っていて。
……でも、どこか悲しそうで。
(私には、関係ないか)
その訳が気になったけど、気にしない。
だって、恋はしないって決めたから……。