甘い魔法②―先生とあたしの恋―


「ふーん。なんだ、やっぱり仲いいんじゃん」


この会話のどこからそんな感想が出てきたのかと、眉間にしわを寄せる。

液晶画面に顔を照らされる瞬は、慣れない手つきでキーボードを叩きながら続けた。


「だって、興味のない人間だったら、ハル兄はそこまで関わろうとしないし。

っていうか、例え食事の時だけでも話そうって気が起きるって事は、その時点で結構気に入ってる証拠だと思うけど」

「……俺、どんだけ人見知りだよ」

「ハル兄は選り好みが激しいからなー。っていうか、最初は、人間自体が嫌いなんだって思うほど冷たかったし。

施設いた時だって一人で部屋にいる事が多かったじゃん。

機嫌悪い時は食事にも来なかったりして、里子さんに怒られてたじゃん」

「……俺も大人になったんだよ」

「もう25だしね」


からかうように言った瞬に小さな苛立ちを含んだ笑みを浮かべても、瞬は気にするでもなく笑い掛けてくる。


「そうだ。そろそろ市川さん来るかも」

「は?」


二度目に出た市川の名前と言葉の内容に、今回はさすがに相槌だけじゃ済ませられなくて聞き返す。




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